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【次世代経営者講座 第13回】高収益体質こそが「安定」を生み出す

安定した会社は、偶然ではなく高収益体質の上に成り立っています

顧問先企業にて継続して実施している次世代経営者講座も、第13回を迎えました。
今回のテーマは、高収益体質こそが安定を生み出す、ということです。

今回も、二代目経営者の方を対象に研修を行いました。
経営の目的を、単なる維持ではなく、安定した成長に置いたうえで、数字の裏にある人の心理と組織の仕組みを整理していく時間となりました。

経営者は、売上や利益を追う立場です。
ですが、本当に目指すべきものは、ただ数字を大きくすることではありません。
会社を安定させること。
そして、社員が安心して働ける環境をつくることです。

私は、安定とは気合いや根性で作るものではなく、利益が継続的に残る体質の上に成り立つものだと考えています。
今回の講座では、その土台を数字で確認しながら整理しました。

社員が求めているのは、高い給与よりも安定した収入です

今回のディスカッションの起点になったのは、社員は何を求めているのかという問いでした。

経営者の側は、どうしても 給与を上げなければいけない という発想になりがちです。
もちろん、給与水準は大切です。
ですが、働く人が本当に求めているものを丁寧に見ていくと、少し違う景色が見えてきます。

今回の講座では、総務省の2023年統計をもとに整理しました。
そこでは、働く人の約7割が 安定した収入 を最も重視している一方で、高い給与 を求める層は17%にとどまっています。

ここから見えてくるのは、金額の多さそのものよりも、安定して支払われる安心感の方が、人にとっては重要だという現実です。
つまり、社員が本当に望んでいるのは、たまたま今期だけ利益が出ている会社ではなく、毎月安心して給与が支払われる会社だということです。

私は、この視点は経営者にとって非常に重要だと思っています。
一時的に利益を上げることではなく、安定的に給与を支払える会社をつくること。
そこに経営の本質があります。

安定を支えるのは、内部留保という たまり です

では、その安定は何によって支えられるのか。
今回の講座では、その答えとして 内部留保 つまり たまり の重要性を整理しました。

会社は、利益が出ていても、お金が残っていなければ不安定です。
逆に、目立たない会社でも、きちんと利益が積み上がり、内部にたまりがあれば強い。
外から見える勢いではなく、中にどれだけ残せているか。
ここが会社の安定性を決めます。

社員に安心してもらうためには、社長が 何とかする と言うだけでは足りません。
実際に何とかできるだけの蓄積が必要です。
この蓄積があるから、景気の波にも、突発的な支出にも、人材投資にも耐えられる。

だからこそ、安定をつくるには高収益体質が必要になります。
高収益体質とは、単に利益率が高いという意味ではありません。
利益をきちんと残し、会社の中に積み上げ続けられる体質のことです。
今回の研修では、この定義を数字とともに整理しました。

貸借対照表は、会社の 体質 を映す鏡です

今回の講座で大きなテーマになったのが、貸借対照表と損益計算書の違いです。

多くの経営者にとって、損益計算書は比較的なじみがあります。
売上、原価、利益。
1年間の結果が見えやすいためです。
一方で、貸借対照表は難しいものとして敬遠されがちです。

ですが、本当に会社の体質を表しているのは、むしろ貸借対照表の方です。
損益計算書が その年の結果 だとすれば、貸借対照表は 積み上がってきた履歴 です。
どれだけ残してきたか。
どんな財務体質になっているか。
何を積み、何を減らしてきたか。
それが表れます。

講義の中でも印象的だったのは、

損益計算書は1年の結果、貸借対照表は積み重ねの記録

という理解でした。
この一言で、数字を見る視点が変わった参加者も多かったように感じます。

私は、損益計算書だけを見て経営すると、どうしても単年度思考になりやすいと思っています。
ですが、貸借対照表まで見えるようになると、今期どうだったかだけでなく、この会社はどんな体質になってきたのかという視点が持てるようになります。
それが、次の一手の質を変えます。

繰越利益剰余金は、先代から引き継いだ成績表でもあります

今回、二代目経営者の方に特に強く意識していただいたのが、繰越利益剰余金の意味です。

繰越利益剰余金は、単なる会計上の数字ではありません。
それは、これまでの経営がどれだけ利益を残し、どれだけ積み上げてきたかの記録です。
言い換えれば、先代の成績表でもあります。

そして二代目にとっては、その数字をどう引き継ぎ、どこまで積み上げ、どこまで残していくかが、自分自身の経営テーマになります。
私は、ここに二代目経営の面白さと重さがあると思っています。

会社を引き継ぐということは、単に商売を受け継ぐことではありません。
これまで積み上がってきた財務の履歴も含めて受け取るということです。
その意味で、繰越利益剰余金を見ることは、過去を知るだけでなく、自分はこれから何を積むのかを考えることでもあります。

現状を把握しないまま、未来の計画は作れません

講座の後半では、現状から計画へ、そして行動へという流れで整理を進めました。

経営計画というと、立派な長期計画を作らなければならないと思う方もいます。
ですが、私はまず 実現できる範囲の行動設計 を作ることの方が重要だと考えています。

今回の講座でも、まずは年内中の明確な目標を設定しました。
そして、その目標を考える前提として、次の3つを確認しました。

現状の数字を正確に把握すること
儲け方のクセを理解すること
どの投資が将来の安定につながるかを見極めること

この順番が大切です。
現状が見えていないのに計画を立てても、実態のない願望になりやすい。
逆に、現状が見え、自社の儲け方の特徴が分かると、どこに力を入れるべきかがはっきりしてきます。

私は、計画とは夢を書くものではなく、現状を踏まえて未来に橋をかける作業だと思っています。
今回の研修でも、その橋をどう架けるかを一緒に整理しました。

高収益体質とは、利益率の高さではなく、残せる会社であることです

今回のテーマである 高収益体質 という言葉も、単に利益率が高い会社という意味ではありません。

私が考える高収益体質とは、利益を安定的に残せる会社のことです。
売上が上がっても残らない会社は、強そうに見えて実は不安定です。
一方で、派手ではなくても、きちんと利益を確保し、内部にたまりを残し続ける会社は強い。

その差を生むのは、商品構成、価格設定、原価管理、固定費の設計、投資判断、人の使い方、社長の意思決定です。
つまり、数字は結果ですが、その裏には必ず人の心理と組織の仕組みがあります。

だからこそ今回は、数字だけでなく、その裏にある経営者の考え方や組織の構造まで含めて整理する時間になりました。
高収益体質とは、数字の話であり、同時に経営の思想の話でもあります。

二代目経営者に必要なのは、自分の経営を描くことです

今回の研修を終えた経営者からは、

初めて自分の会社の積み重ねを意識した

という感想をいただきました。

私は、この気づきが非常に大きいと思っています。
二代目経営者にとって本当のスタートは、会社を受け継いだ時ではありません。
数字を読むだけでなく、それをどう引き継ぎ、どう積み上げていくかを自分のテーマとして捉えた時に、初めて始まるのだと思います。

先代の延長ではなく、自分の経営を描くこと。
そのためには、売上や利益だけでなく、会社の体質、内部留保、積み上げの履歴まで見える必要があります。
今回の講座は、その第一歩として非常に意味のある時間になりました。

安定は、利益を積み上げる覚悟から生まれます

安定とは、守りに入ることではありません。
高収益体質を作り、利益を残し、会社の中にたまりを作り、それによって次の投資と安心を生み出すことです。
その循環ができて初めて、会社は安定して成長していきます。

社員が安心して働ける環境を作ること。
数字で未来を描けるようになること。
そして、二代目経営者が 自分の経営 を積み上げていくこと。
今回の講座は、その土台を整える大切な回となりました。

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