【税理士選びの基礎 #2】安い税理士に注意が必要な理由。後悔しないための6つの視点

こんにちは。福島県郡山市の税理士、遠藤光寛です。
税理士を探すとき、どうしても気になるのが顧問料です。
少しでも安い方が助かる。そう考えるのは自然なことです。
ただ、税理士選びにおいては、安さだけで決めるとあとで高くつくことがあります。
これは単なる値段の話ではありません。会社のお金、時間、判断の質に関わる話です。
実際に、今の税理士との契約を見直したいというご相談の中には、最初は安さで選んだけれど、結果として不満や不安が積み重なってしまったというケースが少なくありません。
今回は、なぜ安い税理士には注意が必要なのかを、実務の感覚も交えて整理します。
安さに引かれて選んだあとに、見直し相談へ来られる方がいます
私は日々、さまざまな業種の経営者の方とお会いしています。
その中には、すでに別の税理士と契約しているものの、今のままでよいのか悩んでいる方もいらっしゃいます。
その際によく出てくるのが、最初は料金が安かったからお願いした、という話です。
もちろん、低価格の税理士がすべて悪いわけではありません。
必要最低限の業務だけを求めるのであれば、それで合う場合もあります。
ただ、実際の経営では、申告だけ済めばよいとはなりません。
相談したいことが出る。判断に迷う場面が出る。急ぎの対応が必要になる。そうしたときに、安さの裏側が見えてくることがあります。
安さの裏に潜む、見えにくい6つのコスト
1. コミュニケーションが取りづらいことがあります
税理士報酬が低い場合、1件あたりにかけられる時間が少なくなりやすい傾向があります。
その結果、メールの返信が遅い、電話で相談しにくい、ちょっとした確認がしづらいという不満につながることがあります。
経営は、問題が起きてから相談するより、起きる前に相談した方が有利です。
にもかかわらず、聞きにくい関係になってしまうと、社長はだんだん黙って自分で判断するようになります。
その判断が正しければよいのですが、実際には、そこで損失が出ることがあります。
お金の損失だけでなく、時間の損失、機会の損失にもつながります。
2. 経験の浅い担当者や事務員中心になることがあります
大きな事務所では、分業体制をとっているところも少なくありません。
それ自体は悪いことではありませんが、価格が低い契約では、経験の浅い担当者や事務職員が中心となることがあります。
その場合、処理はしてくれても、判断や提案の質に差が出やすくなります。
節税の提案がない
帳簿の危ないところを指摘されない
融資や資金繰りの話になると弱い
税務調査を意識した整理がされていない
こうした不満は、後から表に出やすい部分です。
税理士に求めるものが、ただの入力や提出ではなく、判断と助言まで含むのであれば、誰が対応するのかは重要です。
3. 相談が後手に回りやすくなります
税務も経営も、事後対応より事前対応の方が圧倒的に重要です。
ところが、安い契約では、これは範囲外です、別料金です、決算前にまとめて見ますという対応になりやすいことがあります。
たとえば、次のような論点です。
役員報酬をどう決めるか
設備投資のタイミングをどう考えるか
家族への給与をどう扱うか
法人にするか個人のまま進むか
借入の前に何を整えるべきか
こうした論点は、終わってからでは遅いことが少なくありません。
事前に一言あれば防げた損失が、後手に回ることで現実の損失になります。
4. 税務調査のときの安心感が変わります
税務調査は、いつか来るかもしれないものです。
問題は、来たときに税理士がどう動くかです。
一緒に立ち会ってくれるのか。
事前に論点を整理してくれるのか。
普段から調査を意識した帳簿づくりをしてくれているのか。
それとも、そこは別対応で、あまり深く関わらないのか。
この差はとても大きいです。
私自身は国税の現場を18年経験してきました。
だからこそ、調査官がどこを見るのか、どんな資料で判断するのか、どういう会社が危ないと思われやすいのかを肌感覚で理解しています。
税理士の役割は、申告書を出すことだけではありません。
調査になっても慌てない土台を日頃から整えることだと私は考えています。
5. 本来できたはずの節税や改善が漏れることがあります
安価な契約では、決算と申告だけで終わることがあります。
しかし、実際には、節税も資金繰りも日常の積み重ねの中にヒントがあります。
経費の整理
役員報酬の設計
設備投資の判断
保険や退職金の考え方
事業承継に向けた準備
これらは、決算の直前だけ見ても十分に対応できないことがあります。
日頃から会社の状況を把握していればこそ、早めに打てる手があります。
安い契約の中では、そこまで見る時間が確保されていないこともあります。
その結果、見えないところで損をしている会社は少なくありません。
6. 結局、何かと追加料金になりやすいことがあります
最初は安いと思って契約しても、実際には多くの業務が別料金になっていることがあります。
帳簿チェック
年末調整
法定調書
償却資産税
融資資料の作成
税務調査対応
相談対応
節税提案
こうしたものが都度加算されると、思っていたより高かったということになりがちです。
もちろん、業務ごとに料金が分かれること自体は不自然ではありません。
ただ、契約前にどこまでが含まれていて、何が別なのかが見えていないと、後から不満につながります。
税理士との関係は、安いかどうかより、長く付き合えるかどうかです
税理士は、家電や消耗品のように価格だけで選ぶものではありません。
会社の数字を預け、判断の土台を共有し、ときには厳しい話もする相手です。
だから大切なのは、安いかどうかではなく、長く付き合えるかどうかです。
何でも相談できるか
会社のことを理解しようとしてくれるか
困ったときに逃げないか
数字の奥にある問題まで見ようとするか
こうした関係があると、経営の損失を早めに止めやすくなります。
逆に、価格だけで選んで関係が薄いと、表面上は安くても、中身のない顧問契約になってしまうことがあります。
高い税理士がよいと言いたいわけではありません
ここまで読むと、では高い税理士なら安心なのか、と思われるかもしれません。
ですが、そう単純でもありません。
私が言いたいのは、値段だけで決めると危ない、ということです。
会社の規模
必要な支援の深さ
相談したい内容
経営者自身の考え方
これらによって、合う税理士の形は変わります。
大事なのは、税理士に何を期待するのかを自社で整理することです。
申告だけでよいのか。
相談も含めて見てほしいのか。
資金繰りや人材のことまで相談したいのか。
この整理ができていないと、安い、高いという比較だけで終わってしまいます。
私が大切にしているのは、地味でも、まじめに、長く付き合えることです
私の事務所は、派手な宣伝をしているわけではありません。
ですが、目の前のお客様ときちんと向き合い、長く続く会社を一緒に考えることは大切にしています。
税務の土台を整えること。
危ない論点を早めに伝えること。
会社に現金を残す視点を持つこと。
人とお金の問題を切り離さずに見ること。
こうした地道な積み重ねが、結局は経営の損失を止めることにつながると考えています。
税理士に何を求めるべきか、まだ整理しきれていない方もいると思います。
そういう段階でも構いません。まずは一度話してみることで、自社に必要な関わり方が見えてくることがあります。
まとめ
安い税理士には魅力があります。
ただし、安さだけで選ぶと、見えにくいところで損をすることがあります。
コミュニケーションが取りづらい
担当者の経験が浅い
相談が後手に回る
税務調査時の安心感が弱い
節税や改善の余地が漏れる
結局、追加料金が積み上がる
こうしたことが重なると、最初に浮いたはずの顧問料以上の損失になることがあります。
税理士は単なる経費ではありません。
会社の数字と判断を支えるパートナーです。
目先の顧問料だけでなく、長く付き合えるか、安心して相談できるか、自社に必要な支援をしてくれるか。
その視点で選ぶことが、税理士選びで後悔しない一番の近道だと私は思います。





