【税理士選びの基礎 #4】税理士によって判断が違うのはなぜか。安心できる判断を見極める視点

こんにちは。福島県郡山市の税理士、遠藤光寛です。
税理士を探している方や、今の顧問契約を見直したい方から、よくいただく疑問があります。
それが、税理士によって判断が違うのはなぜか、というものです。
前の税理士は経費になると言っていたのに、今の税理士は難しいと言う。
同じ内容を相談したのに、答えが違う。
相続税の見込み額が、税理士によって大きく変わった。
こうしたことは、実際に起こります。
そして、これは必ずしもどちらかが間違っているという単純な話ではありません。
税務の世界では、同じ事実を前にしても、見る角度や経験、リスクの取り方によって判断が分かれることがあります。
今回は、その理由を整理しながら、安心できる判断とは何かをお伝えします。
同じ内容でも、税理士によって答えが違うことはあります
税理士は法律に基づいて仕事をする専門家です。
そのため、外から見ると、誰に聞いても同じ答えになるように思われがちです。
ですが、実務の現場ではそう単純ではありません。
たとえば、次のような場面では判断が分かれやすくなります。
・交際費としてどこまで認めるか
・業務委託費と給与の線引きをどう考えるか
・社宅や福利厚生の処理をどう整理するか
・相続税の土地評価や特例適用をどう見るか
・税務調査で争点になりそうな処理をどこまで許容するか
こうした場面では、税理士によって答えが違うことがあります。
その背景には、大きく3つの理由があります。
1. 税務には白黒がはっきりしない部分があります
税務は法律に基づいて動く世界ですが、実務では白か黒かだけで割り切れない部分があります。
条文だけ見れば単純そうに見えても、実際には事実関係の整理や解釈の幅が関係してきます。
そのため、完全に白とは言い切れないが、否認されるとも限らないという領域が存在します。
たとえば、交際費、福利厚生費、外注費、役員関連の支出などは、実態の見え方によって評価が変わることがあります。
同じ支出でも、説明資料が整っているか、継続性があるか、業務との関連性が明確かによって、印象は変わります。
このとき、税理士は単に条文を読むだけではなく、実務上どこまで安全か、どこから危ういかを考えて判断します。
つまり、税理士ごとの差が出るのは、グレーな論点があるからです。
2. 税理士ごとにスタンスと価値観が違います
税理士によって判断が違う大きな理由のひとつが、仕事に対するスタンスの違いです。
たとえば、次のようなタイプがあります。
・とにかく守りを重視し、少しでも危ないものは避けるタイプ
・法の範囲内であれば、節税の可能性を最大限探るタイプ
・税金だけでなく、資金繰りや経営全体とのバランスを見て判断するタイプ
どれが絶対に正しいという話ではありません。
大切なのは、その税理士の考え方が、自社の価値観と合っているかどうかです。
社長の中には、とにかく安全第一で進めたい方もいます。
一方で、一定のリスクを理解したうえで、可能な範囲で攻めたい方もいます。
税理士の判断は、こうした価値観と無関係ではいられません。
だからこそ、判断が違うのは当然とも言えます。
私自身は、企業の資金繰りと安全性のバランスを大切にしています。
税務調査で揉めにくいか、あとで説明に苦しまないかを常に意識しながら、それでも会社にとって不利になりすぎない判断を心がけています。
3. 経験と専門分野の違いで、見えるものが変わります
税理士にも得意分野があります。
法人税に強い人、相続に詳しい人、医療や建設など特定業種に強い人、クラウド会計やDXに強い人など、それぞれ見てきた現場が違います。
当然ですが、見てきた件数や扱ってきた論点が違えば、判断の精度にも差が出ます。
たとえば相続税では、土地の評価方法や特例の適用判断で納税額が大きく変わることがあります。
法人税でも、役員報酬、外注費、修繕費、福利厚生費など、経験の差がそのまま判断の差につながる場面があります。
経験の浅い税理士や、その論点をほとんど扱っていない事務所では、無難すぎる判断になることもあれば、逆に危うい判断をしてしまうこともあります。
つまり、税理士によって判断が違うのは、知識量だけでなく、どんな現場をどれだけ見てきたかの差でもあります。
良い判断とは、派手な節税ではなく、説明できる判断です
では、良い判断とは何か。
私は、派手な節税を提案することではないと思っています。
良い判断とは、少なくとも次の3つを満たすものです。
・法に基づいていること
・税務調査の目線を踏まえていること
・会社の将来にとって無理がないこと
そのため、私はときに、それは経費にしない方がいいです、とお伝えすることがあります。
目先では損に見えても、あとで否認されて追徴や不信感につながる方が、会社にとっては大きな損失になるからです。
税理士の役割は、お客様の顔色を見て何でも通すことではありません。
先を見据えて、言いにくいことも誠実に伝えることだと考えています。
判断が違って迷ったときは、セカンドオピニオンも有効です
もし今の税理士の判断にモヤモヤがあるなら、セカンドオピニオンを取ることは自然なことです。
うちの税理士は大丈夫だろうか。
この処理で本当に問題ないのだろうか。
別の税理士ならどう考えるのだろうか。
こうした疑問を抱えたまま進めるより、一度整理した方が安心できることは少なくありません。
税理士に対して遠慮する必要はありません。
顧問契約をしていても、別の視点から確認することには意味があります。
実際、単発の相談だけでも、税務リスクが見えたり、判断の優先順位が整理できたりすることがあります。
もっと早く聞いておけばよかった、という話になることもあります。
税理士は書類を作る人ではなく、判断する人です
税理士というと、申告書を作る人、帳簿を見る人という印象を持たれがちです。
もちろん、それも仕事の一部です。
ですが本質は、数字の裏にある事実を見て、判断することにあります。
何を経費にするか。
どこでリスクを取るか。
どこは守るべきか。
今の節税が将来にどう影響するか。
資金繰りや承継まで含めてどう考えるか。
こうした判断の積み重ねが、会社の安心につながります。
だからこそ、税理士選びでは、知識だけでなく、説明力や誠実さ、判断の背景まで見ることが大切です。
判断の違いそのものより、その説明に納得できるかが大切です
税理士によって判断が違うこと自体は、珍しいことではありません。
問題は、その判断に納得できる説明があるかどうかです。
なぜその処理になるのか。
何が安全で、何が危ないのか。
やる場合のメリットとデメリットは何か。
今は通っても、将来どういうリスクがあるのか。
こうしたことを分かる言葉で説明してくれる税理士であれば、たとえ厳しい判断でも信頼しやすくなります。
逆に、理由が曖昧なまま大丈夫ですと言われても、不安は残ります。
安心できる判断とは、都合のよい判断ではありません。
根拠があり、説明があり、あとで振り返っても筋が通っている判断です。
まとめ
税理士によって判断が違うのは、不思議なことではありません。
・税務にはグレーな論点がある
・税理士ごとにスタンスや価値観が違う
・経験や専門分野によって見えるものが変わる
こうした違いがある以上、同じ相談でも答えが分かれることはあります。
だからこそ大切なのは、何が正解かを一言で求めることではなく、その判断に根拠と説明があるかを確かめることです。
税理士選びで見るべきなのは、何でも通してくれる人かどうかではありません。
危ないことは危ないと言い、やるならその理由と条件をきちんと示してくれる人かどうかです。
今の税理士の判断に違和感がある方、税理士変更やセカンドオピニオンを考えている方は、一度立ち止まって、その判断の背景まで見直してみてください。
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自社にとって何を重視すべきか、今の顧問契約のどこに違和感があるのかを整理するきっかけになります。
いきなり結論を出さなくても構いません。
まずは現状を見える化するところから始めてみてください。





