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【次世代経営者講座 第8回】商売とは何か?商人とは何か?

2025.10.21

商売が難しくなった時代だからこそ、原点に戻る意味があります

顧問先企業にて継続して実施している次世代経営者講座も、第8回を迎えました。
今回のテーマは、商売とは何か、商人とは何かです。

現代のビジネスは多様化し、横文字の理論や新しい手法が次々と現れます。
マーケティング、ブランディング、マネジメント、DX、AI。
どれも大切な要素ではありますが、それだけを追いかけていると、経営の軸を見失うことがあります。

特に地域に根ざした企業ほど、目先の流行よりも先に、自分たちは何のために商売をしているのかを問い直す必要があります。
商売の原点が曖昧なままでは、手法だけ増えても会社は強くなりません。
今回の講座では、あえて江戸時代から受け継がれてきた商いの哲学に立ち返り、経営の本質を見つめ直す時間にしました。

商売とは、単に物を売ることではありません

今回の講座では、まず 商売とは何か という問いから議論を深めました。

商売というと、どうしても 売上を上げること 利益を出すこと という理解になりがちです。
もちろん、それは間違いではありません。
ですが、それだけでは商売の半分しか見えていません。

商売とは、相手に価値を渡し、その対価としてお金をいただく営みです。
つまり、売ることそのものではなく、相手の役に立つことが先にある。
この順番が崩れると、商売はすぐに苦しくなります。

数字だけを追うと、短期的には売上が立つこともあります。
ですが、相手の役に立たない商売は長く続きません。
私は、商売とは一回きりの取引ではなく、信用を積み重ねていく仕事だと考えています。
今回の講座では、その大前提を改めて確認しました。

商人とは、金を儲ける人ではなく、世の中を回す人です

次に扱ったのが、商人とはどんな存在かというテーマです。

商人という言葉には、時代によってさまざまなイメージがあります。
儲ける人、数字に強い人、商売が上手い人。
ですが、本来の商人とは、単に金を稼ぐ人ではありません。

人と人をつなぎ、物と情報を動かし、世の中に必要な流れをつくる人。
それが商人です。
だからこそ商人には、数字だけではなく、信用、倫理、継続性が求められます。

儲けること自体は悪ではありません。
むしろ、利益が出なければ会社は続きません。
ですが、利益だけを目的にすると、商人ではなく、ただの取り手になってしまいます。
今回の講座では、商人とは何を背負う存在なのかを、受講者の皆さまと一緒に考えました。

近江商人の 三方よし は、今もなお通用する経営の原則です

講座の中では、近江商人に学ぶ 三方よし の精神も取り上げました。

売り手よし
買い手よし
世間よし

この考え方は有名ですが、知っていることと、経営に落とし込めていることは別です。
実際には、売り手だけがよくても長続きしませんし、買い手だけによすぎても会社は疲弊します。
さらに、世間によいかという視点が抜けると、地域や周囲との関係の中で持続性を失います。

地域企業にとって、この 世間よし の視点は特に重要です。
地域で商売をする以上、自社だけが儲かればよいという発想では続きません。
社員、取引先、お客様、地域社会。
それぞれとの関係の中で、会社がどう存在するのかが問われます。

私は、三方よし とは綺麗ごとではなく、持続する商売のための極めて現実的な知恵だと考えています。
短期の利益を取るか、長く信頼を積むか。
その分かれ道に立ったとき、経営者の思想が表れます。

石田梅岩の商人道は、利益と倫理を分けない考え方です

今回は、石田梅岩の商人道についても触れました。

石田梅岩は、商人の仕事を単なる金儲けではなく、社会の中で果たすべき役割として捉えました。
商人にも道がある。
つまり、商いにも守るべき筋があるという考え方です。

これは現代でも非常に重要です。
利益を出すことと、正しくあることを別々に考える経営者は少なくありません。
ですが、本来この二つは分けて考えるものではありません。

正しくない儲け方は、どこかで歪みを生みます。
逆に、筋を通して得た利益は、会社に信用として残ります。
私は、商人道とは道徳の話というより、長く続く経営の条件だと思っています。

小手先のテクニックは、その場をしのぐ力にはなります。
ですが、会社を十年、二十年、三十年と続けていくためには、何をよしとするのかという思想が必要です。
今回の講座では、その思想の土台を見つめ直しました。

二代目 三代目こそ、自分の経営の軸を持つ必要があります

今回のテーマは、特に二代目 三代目の経営者にとって重要な内容です。

先代が築いた会社には、すでに歴史があります。
お客様との関係も、地域での立ち位置も、働く人の空気もある。
だからこそ、引き継ぐ側は、単に新しいことをやればよいわけではありません。

変えるべきものと、守るべきもの。
この見極めができなければ、会社は簡単に軸を失います。
革新は必要です。
ですが、革新は伝統の上に成り立つものです。

原点を知らずに変えると、ただ壊しただけで終わります。
原点を理解したうえで変えるからこそ、進化になります。
私は、次世代経営者に必要なのは、流行を追う力ではなく、自分の会社の軸を言語化する力だと考えています。

本質を問い直す時間が、持続する経営の土台になります

今回の講座では、

商売とは何か
商人とは何か
近江商人の 三方よし
石田梅岩の商人道

といった視点から議論を深めました。
参加された経営者の皆さまにとっても、自分の経営の軸に照らし合わせる時間になったのではないかと思います。

経営が苦しくなると、多くの人はすぐに手法を探します。
ですが、本当に必要なのは、その前に 自分は何のために商売をしているのか を問い直すことです。
ここが曖昧なままでは、どんなノウハウも表面的なものに終わります。

商売の本質を問い直す。
商人としての自分の立ち位置を確認する。
それが、永く続く企業づくりの第一歩です。

今回の講座もまた、小手先の知識ではなく、経営の土台を整えるための大切な時間となりました。

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