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人材の損失を止めるなら、まず中堅社員から守るべき理由

人材の損失を止める。
そう聞くと、多くの会社はまず採用を考えます。

人が辞める。
だから補充する。
若い人が欲しい。
新卒を採る。
こういう発想に流れがちです。

ですが、私は順番が違うと思っています。

人材の損失とは、まず離職です。
そして離職の中でも、最も止めるべきなのは中堅以上の離職です。

なぜか。
この層が最大戦力だからです。

一番の稼ぎ頭であり、生産性が高く、しかも会社から見れば人件費はまだ比較的安い。
言い方を選ばずに言えば、最も回収効率が高い層です。

この層が辞めることは、単に一人減る話ではありません。
利益が抜ける。
現場が弱る。
教育が止まる。
空気が乱れる。
会社の芯が抜ける。
そういう話です。

だから、人材の損失を止めるときに、まず守るべき優先順位は明確です。
新人ではありません。
中堅以上です。

1. 多くの会社は、守る順番を取り違えています

多くの会社が、ここを取り違えています。

新人にはものすごく気を使う。
辞められたら困るから、機嫌を取る。
高い初任給を出す。
丁寧に扱う。
それ自体を全否定するつもりはありません。

ただ、その一方で、何年も辞めずに働き、実績を出し続けてきた中堅以上に対しては、同じだけのケアも、同じだけの給料アップも、同じだけの期待の示し方もできていない会社が多い。
ここに問題があります。

会社にとって本当に痛い離職はどこか。
ここを見誤ると、人事の打ち手は全部ずれます。

新人が辞めるのは痛いです。
ですが、中堅社員が辞める痛みとは質が違います。
新人の離職は、期待損失です。
中堅の離職は、現実の利益損失です。

この違いを、経営者はもっと直視すべきです。

2. 中堅以上は、会社にとって最も回収効率が高い層です

私は、新人は辞めるものだと思って採った方がいいと考えています。
冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが、これは現実論です。

今の新卒市場は、昔のように長く残る前提ではありません。
採用したら定着する、という時代ではない。
ならば、新人を最重要資産として扱うよりも、最初からパートや請負、外部人材も含めて回る仕組みを作った方がいい。

一方で、中堅以上は違います。
すでに会社の仕事を覚えている。
現場の流れを知っている。
お客様との距離感を知っている。
社内の暗黙知を持っている。
後輩に教えられる。
上からの意図もある程度理解できる。

しかも、まだ伸びる余地がある。
ここが大きいです。

ゼロから育てる必要はない。
すでに土台がある。
だから、そこに知識と経験を追加すれば、さらに利益を生む存在になります。
これほど投資効率の高い層はありません。

3. 中堅社員の実績とは、辞めていないことそのものです

中堅社員は、すでに実績を出しています。
売上を作った。
現場を回した。
トラブルを処理した。
後輩を面倒見た。
もちろん、それも実績です。

ですが、それ以上に大きい実績があります。
それは、数年経っても辞めていないことです。

私は、これが非常に大きいと思っています。
辞めずに残った。
それは、会社に対して一定の信用を積み重ねてきたということです。

会社は、この信用を軽く見てはいけません。
むしろ、ここに最も報いるべきです。

この人たちは、会社の不完全さも知っている。
しんどい時期も見てきている。
それでも残っている。
これは、かなり重い事実です。

だからこそ、会社側もその信用に対して報いる必要があります。

この人たちには会社としてしっかり報いる。
このメッセージが見えるからこそ、将来に対する信頼が生まれる。
そして会社としても、手をかけて、力を入れて育てていく判断ができるようになります。

4. 中堅以上の離職は、単なる欠員ではなく文化の損失です

私は、中堅社員を守ることは、単なる離職防止ではないと思っています。
会社の文化を守ることです。

中堅社員は、会社のやり方を知っています。
現場の機微を知っています。
お客様との距離感を知っています。
言葉にしづらい空気や判断基準を体に染み込ませています。

この人たちがいるから、新人も育つ。
現場も崩れにくい。
問題が起きても、何とか持ちこたえる。
会社が会社として回っているのは、この層がいるからです。

逆に言えば、この人たちが抜けると、数字では見えないものが壊れます。

・教え方
・段取り
・気配り
・お客様への接し方
・報連相の温度感
・現場特有の勘所

こうしたものは、マニュアルだけでは残りません。
人を通じて伝わります。
だから中堅社員が抜けると、単なる人数減では終わらないのです。
文化が薄まります。
現場がぎこちなくなります。
そしてその影響は、時間差で表に出ます。

5. 守るだけでは足りない。中堅以上には再投資が必要です

中堅社員は、ただ引き留めればよいわけではありません。
守るだけでも足りません。
もう一段、伸ばす必要があります。

既に実績があり、既に土台もある。
ならば、そこにさらに知識と経験を投入する。
会社側が意図的にカスタマイズして、より戦力化していく。
そうすれば、回収効率はさらに高まります。

ゼロから育てるより、はるかに効率がいい。
なのにそこに投資しない。
これは経営判断として、かなりもったいないと思います。

では、中堅以上を守り、伸ばすために何が必要か。
私は、中堅社員教育が必要だと思っています。
しかも表面的なものでは足りません。

① マネジメントの考え方

部下を持つ、後輩を教える、現場をまとめる。
ここにはプレイヤーとは違う力が必要です。
感覚ではなく、考え方として教える必要があります。

② ITスキルと生産性向上

今の時代、中堅社員がITやAI、整理術、データ活用に弱いままでは、生産性は頭打ちになります。
頑張っているのに遅い。
真面目なのに非効率。
これでは苦しい。
だからこそ、ツールを使いこなす力が必要です。

③ 思考方法と言語化

中堅社員がもう一段伸びるためには、考え方を言語化できるようになることが重要です。
なぜそう考えるのか。
どう整理するのか。
どう伝えるのか。
ここが弱いと、経験が後輩に伝わりません。

④ ライフプランとお金の教育

この層は、家庭の悩みやお金の悩みが現実に出てくる時期です。
住宅、教育費、老後、保険、親の介護。
こうした不安が判断を鈍らせることもあります。
だから、ライフプランやお金に関する基礎からの研修も必要です。

6. 悪い会社ほど、釣った魚に餌をやりません

会社はよく、教育というと新人ばかりに目を向けます。
ですが本当に利益に直結するのはどこか。
そこを見誤ってはいけません。

中堅社員こそ利益の源泉です。
ここに対して、さらに利益を最大化させるために何ができるか。
この発想が、驚くほど足りていないのです。

悪い会社ほど、釣った魚に餌はやらないという考え方をします。
新人には優しい。
でも残ってくれている人には甘える。
管理職も、部活動の延長のような感覚で人を回す。
結果として、中堅社員は疲弊し、評価されず、未来も見えず、静かに離れていきます。

これでは会社の文化は残りません。
利益も残りません。
育成も止まります。

会社にとって本当に大事なのは、辞めずに残り、成果を出し、これからの幹部候補になる層です。
ここに甘える会社は、いずれ必ずしっぺ返しを受けます。

7. 経営者が中堅社員に約束すべきこと

では、経営者は中堅社員に何を約束すべきか。
私は、きれいごとではなく、結果を出すことだと思っています。

ライフプラン研修なら、生活が良くなったという実感を持ってもらう。
できる研修なら、自分のスキルが上がり、生産性が上がったという実感を持ってもらう。
中堅職員研修なら、成果の出し方や部下とのコミュニケーションを通じて、言語化できる成長を感じてもらう。

つまり、

私はできる。
そして、この会社から私は期待されている。

そう実感してもらうことです。

人は、お題目では動きません。
実感で動きます。

この会社にいれば、自分は伸びる。
生活も良くなる。
任される。
期待される。
だから残る。
だから頑張る。

この循環を作るのが経営です。

8. 人材の損失を止めるとは、人数を埋めることではありません

人材の損失を止めたいなら、まず守るべき優先順位を間違えてはいけません。

新人を大事にするなと言いたいのではありません。
ただ、その前に、もう信用を積み重ねてきた人たちを後回しにするな、ということです。

辞めていないという信用は、会社にとって大きな資産です。
そこにきちんと報いる。
そこに投資する。
そこをさらに育てる。

この順番を守れる会社だけが、文化を守り、利益を守り、未来を守れます。

人材の損失を止めるとは、人数を埋めることではありません。
今いる戦力の価値を見抜き、守るべき人から先に守ることです。
その起点はいつも、中堅以上です。

9. まとめ

人材の損失を止めるとき、多くの会社は採用から考えます。
ですが、本当に優先すべきは中堅以上の離職防止です。

なぜなら、この層こそが、

・利益を作り
・現場を支え
・新人を育て
・文化を残し
・次の管理職候補になる

最大戦力だからです。

中堅社員を守るとは、単なる離職防止ではありません。
会社の芯を守ることです。

だからこそ、経営者はまず、

・誰が本当に利益の源泉なのか
・誰に最初に報いるべきか
・誰に最優先で投資すべきか

を見極める必要があります。

人材の損失を止めるとは、採ることではなく、守る順番を間違えないことです。
その最初の優先順位は、中堅以上です。

10. 中堅社員を守りたい経営者の方へ

中堅社員が静かに疲弊している。
ベテラン手前の層が伸び悩んでいる。
新人ばかりに気を取られて、会社の芯が薄くなっている。
そう感じるなら、人事の優先順位を見直すタイミングかもしれません。

人材の損失を止めるには、採用より先に、今いる戦力の価値を見抜くことです。
とくに中堅以上は、守るだけでなく、再投資すべき層です。
ここを見誤らない会社だけが、利益も文化も未来も守れます。

福島県郡山市で、税理士のセカンドオピニオンを中心に活動。 国税18年、税理士8年の経験をもとに、経営の損失を防ぐため、お金、人材、時間、機会、家族、未来の6つから企業を支援。

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