【次世代経営者講座 第14回】「利益の出し方」を学び、経営の基礎体力を整える

利益は、偶然残るものではなく、構造を理解した人がつくるものです
顧問先企業にて継続して実施している次世代経営者講座も、第14回を迎えました。
今回のテーマは、利益の出し方です。
二代目経営者が会社を引き継ぐとき、多くの方が直面する問いがあります。
それが、利益をどうやって上げるのかという問題です。
売上はある。
仕事も動いている。
社員も頑張っている。
それでも、思ったほど利益が残らない。
この感覚を持つ経営者は少なくありません。
私は、利益は気合いで出すものではなく、構造を理解したうえで作っていくものだと考えています。
今回の講座では、数字の仕組みと経営者の行動、この両面から利益の作り方を整理しました。
利益の基本式を理解すると、経営の見え方が変わります
講座の冒頭では、まず利益の基本式を確認しました。
利益 = 売上 − 経費
非常にシンプルです。
ですが、このシンプルな式を、経営判断として本当に使えているかとなると、意外と難しいものです。
経営者として最初に持つべき感覚は、利益を増やす方法は一つではないということです。
売上を上げる。
経費を下げる。
あるいは、その両方を考える。
この選択肢が見えるようになるだけでも、経営の景色は変わります。
利益が苦しいときに、売上を増やすことしか頭にない経営者は多い。
ですが、実際には、経費の見直しで利益体質が改善することもあります。
逆に、経費ばかり削って売上を作る力が弱れば、会社は先細ります。
だからこそ、利益の式をただ知るだけではなく、どこを動かすかを考えられることが大切です。
今回の講座では、その出発点を丁寧に整理しました。
売上は 客数 と 客単価 に分けて考える必要があります
次に扱ったのは、売上の構造です。
売上 = 客数 × 客単価
この形に分解すると、売上を上げる方法がより具体的に見えてきます。
客数を増やすのか。
客単価を上げるのか。
この二つは同じ 売上アップ でも、必要な打ち手がまったく違います。
客数を増やすなら、認知、集客、営業導線、紹介、対応人数の設計が必要になります。
一方で、客単価を上げるなら、商品設計、価格設計、付加価値、説明力、顧客の納得感が重要になります。
講座では、自社のビジネスモデルに置き換えながら、今どちらを優先すべきかを具体的な数字で検討しました。
単に 売上を伸ばそう ではなく、どこを動かせば伸びるのかを見える形にする。
それが、利益改善の第一歩になります。
私は、経営者に必要なのは、漠然と頑張ることではなく、どの数字を動かすかを決める力だと思っています。
今回の講座では、その視点を強く意識しました。
全部やろうとすると、結局どれも残りません
受講者の中には、全部満遍なく取り組みたいという気持ちを持つ方もいらっしゃいました。
これは自然な感覚です。
経営者であれば、売上も上げたいし、経費も見直したい。
客数も増やしたいし、単価も上げたい。
できることなら全部やりたいと思うものです。
ですが、現実には、時間にも人にも資金にも限界があります。
1年でできることは限られています。
だからこそ、焦点を絞る勇気が必要です。
講座の中でも、何度も確認したのは、全部やろうとすると、全部中途半端になるということでした。
これは経営の基本だと思います。
選ばないことは、一見安全に見えます。
ですが、実際には力が分散し、成果が見えにくくなります。
逆に、今期はここに絞ると決められる経営者は強い。
限られた資源を集中できるからです。
今回の講座でも、最初は広く考えていた受講者の方が、最終的には 今できる範囲 を明確にし、そこに集中することの大切さを実感されていました。
計画の前に必要なのは、現状を正しく知ることです
数字を変えたいと思ったとき、多くの人はすぐに打ち手を探します。
ですが、その前に必要なのは、現状把握です。
売上を伸ばすにも、経費を削るにも、まずはいま何が起きているかを知らなければなりません。
どこで利益が出ているのか。
どこで利益が漏れているのか。
何が必要経費で、何が惰性の支出なのか。
この整理ができていない状態で計画を立てても、実効性は弱くなります。
今回の講座では、より着手しやすい経費の見直しからスタートしました。
自社の支出構造を見直し、必要な支出と惰性で続いている支出を区分けしていく。
この作業は地味ですが、非常に重要です。
私は、利益をつくるとは、売上を増やすことだけではないと思っています。
不要な流出を止めることも、立派な利益改善です。
その意味で、経費の見直しは守りではなく、利益を残すための攻めでもあります。
数字を自分ごとにした瞬間から、経営は変わり始めます
今回の講座を通じて印象的だったのは、受講者が数字を 自分ごと として捉え始めたことです。
数字は、ただ資料に載っているだけでは意味がありません。
自分の会社の現実として受け止め、自分の行動と結びついたときに、初めて武器になります。
どの経費を見直すのか。
客数を追うのか、客単価を磨くのか。
今期は何に集中するのか。
こうした問いに対して、自分で答えを持てるようになると、経営者の判断は一段強くなります。
今回も、単なる節約の話ではなく、利益をつくる仕組みを整えるという視点に変わっていく過程が見られました。
ここが非常に大きいと感じています。
分かったで終わらせず、行動に落とすことが講座の価値です
この次世代経営者講座で一貫して重視しているのは、分かったで終わらせないことです。
講座の中でも出てきた言葉に、成果は行動で語る という一文がありました。
私は、まさにその通りだと思っています。
経営は知識ではなく習慣です。
数字を理解するだけでは、会社は変わりません。
どの数字を、いつ、どう動かすか。
それを具体的に決め、日常の中で動かしていくことが必要です。
今回の講座を通じて、受講者は利益の構造を自分の言葉で説明できるようになり、まずは経費を整理しよう、来期は単価戦略に移ろう、といった行動を伴う一歩を踏み出しました。
この変化こそが、講座の価値だと感じています。
利益をつくれる経営者が、会社の基礎体力を整えます
会社の基礎体力とは、派手な売上ではありません。
利益を残し、次に備え、必要な投資ができる状態のことです。
その体力は、自然には生まれません。
利益の構造を理解し、行動を絞り、数字を動かせる経営者によって作られます。
今回の講座は、利益とは何かを学ぶ時間であると同時に、二代目経営者が 利益をつくる側 に立つための時間でもありました。
経営を引き継ぐとは、売上を見ることではなく、利益を残す責任を引き継ぐことでもあります。







