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【次世代経営者講座 第16回】現場の3Kから、経営の3Sへ。立場を切り替える仕事

現場で通用したやり方が、そのまま経営で通用するとは限りません

顧問先企業にて継続して実施している次世代経営者講座も、第16回を迎えました。
今回のテーマは、現場担当者・管理職として身につけてきた感覚を、どう経営者として切り替えていくかです。

前回の講座では、現場で必要とされる3Kについて扱いました。
3Kとは、気合、根性、勘の3つです。

現場を回すうえで、この3Kは確かに強い武器になります。
急な欠員、トラブル対応、納期遅れ、顧客対応。
こうした場面では、まず動くこと、踏ん張ること、その場で判断することが求められます。
実際、多くの受講者の方も、これまでのキャリアの中で 気合で乗り切った 根性でやり切った 経験と勘で判断してきた という成功体験を持っていました。

問題は、経営者になったあとも、その感覚のまま会社の舵を取ってしまうことです。
現場で結果を出してきた人ほど、その延長で経営をしようとします。
ですが、経営は現場の拡大版ではありません。
今回の講座では、その違いを整理しながら、二代目経営者が身につけるべき新しい視点を確認しました。

中小企業の経営者は、現場と経営の両方を生きる立場です

中小企業では、経営と現場を完全に切り離すことは難しいのが現実です。
経営者が、現場責任者でもあり、営業でもあり、管理職でもあり、時には作業者でもある。
そうした状況は珍しくありません。

だからこそ大切なのは、現場に入らないことではありません。
いま自分がしている判断は、現場の判断なのか、それとも経営の判断なのかを切り替えられることです。

現場の判断と経営の判断は、似ているようでまったく違います。
現場は 今日を回すこと が優先です。
経営は 会社を続けること が優先です。
この違いを意識しないまま動くと、目の前の問題ばかりに引っ張られ、会社全体の方向性が見えなくなります。

私は、二代目経営者に必要なのは、現場を知らないことではなく、現場に強い人ほど経営判断との違いを自覚することだと考えています。
今回の講座は、その切り替えを学ぶ時間になりました。

現場の3Kに対して、経営者には3Sが必要です

今回の講座では、現場の3Kに対になるものとして、経営者が身につけるべき3つの視点を整理しました。
それが、3Sです。

気合の代わりに 仕組み
根性の代わりに 戦略
勘の代わりに 数字

私は、この切り替えができるかどうかで、二代目経営者の成長速度は大きく変わると思っています。
現場では、自分が頑張れば何とかなることがあります。
ですが、経営では、自分が頑張るだけでは会社は続きません。
経営者の役割は、頑張ることではなく、続く形をつくることです。

気合の代わりに必要なのは 仕組み です

まず一つ目のSは、仕組みです。

ここでいう仕組みとは、誰がやっても一定の結果が出る状態を指します。
特定の人の能力や根性に依存せず、一定の再現性を持って回る形です。

たとえば、社長がいないと止まる業務。
ベテランが休むと回らない現場。
判断基準が人によって違う属人的な運用。
こうした状態は、現場では気合で何とか回るかもしれません。
ですが、経営として見ると非常に不安定です。

私は、経営者の役割は、自分が頑張ることではなく、自分が頑張らなくても回る状態をつくることだと考えています。
社長がいなければ止まる会社は、頑張っている会社ではあっても、強い会社ではありません。
だからこそ、気合の代わりに仕組みが必要になります。

根性の代わりに必要なのは 戦略 です

二つ目のSは、戦略です。

戦略とは、全部頑張ることではありません。
どこで戦い、どこでは戦わないかを決めることです。
つまり、やらないことを決めることでもあります。

現場では、全部対応する姿勢が評価されやすい。
頼まれたことは断らない。
来た仕事は全部受ける。
困っている人がいれば助ける。
その姿勢は現場では強みになることがあります。

ですが、経営では、それを続けると会社の体力が削られます。
どの事業に力を入れるのか。
どの顧客を優先するのか。
今は攻めるのか、守るのか。
これを決めなければ、時間も人もお金も分散し、気づいたときには全部中途半端になります。

私は、戦略とは難しい理論ではなく、限られた資源をどこに集中するかを決めることだと思っています。
根性で耐え続けるのではなく、体力を残すために選ぶ。
それが経営者の仕事です。

勘の代わりに必要なのは 数字 です

三つ目のSは、数字です。

もちろん、勘がまったく不要になるわけではありません。
現場経験から来る感覚は、経営者にとっても大切な財産です。
ですが、経営判断を勘だけに頼るのは危険です。

売上はどうなっているのか。
利益は残っているのか。
資金繰りは持つのか。
人件費は適正か。
いまどこにいて、どこに向かっているのか。
これを確認するには、数字が必要です。

数字は、感情を排除して事実を見せてくれます。
厳しい現実も、希望的観測も、そのまま表に出します。
私は、経営者にとって数字は、通信簿であり、地図であり、警告灯でもあると思っています。

現場では、その場の空気や経験で判断できることもあります。
ですが、経営では未来を読む必要がある。
そのとき、勘だけでは足りません。
数字を根拠に判断する習慣が、会社を守ります。

大切なのは 3K を否定することではなく、使い分けることです

今回の講座で一貫してお伝えしたのは、3Kが悪いわけではないということです。
3Sだけが正しい、という単純な話でもありません。

現場では3Kが必要です。
気合がなければ踏ん張れない場面があります。
根性がなければ乗り切れない局面もあります。
勘がなければ即断できないこともあります。

ただし、経営判断の場面で、それをそのまま使うと危険だということです。
だから必要なのは、否定ではなく使い分けです。

現場では3K。
経営では3S。
このスイッチを、場面ごとに意識して切り替えられるかどうか。
そこが、二代目経営者の大きな成長ポイントになります。

受講者からも、

難しいが、経営者になった以上、身につけていかなければならないと感じた
組合で会う すごい経営者 が、こういうことを考えていた理由が分かった
これまでのやり方を否定されたわけではなく、使い分けの話だと理解できた

といった声がありました。
この反応からも、現場感覚を否定されるのではなく、整理されたことで腹落ちしたことが伝わってきました。

経営者の仕事は、頑張ることではなく、続く形をつくることです

私は、経営者の仕事は、自分が誰よりも頑張ることではないと考えています。
判断し、整え、続く形をつくること。
それが、本来の役割です。

現場で鍛えてきた3Kは、二代目経営者にとって大きな財産です。
それを否定する必要はありません。
ただし、それだけで会社を回そうとすると、どこかで限界が来ます。

だからこそ、経営者として3Sを身につける。
仕組みで回る状態をつくる。
戦略でやることを絞る。
数字で現在地を確認する。
そして必要な場面では、現場の3Kも使う。
この両方を使いこなせることが、次の経営を支える力になります。

今回の講座は、その第一歩となる大切な時間でした。
現場の強さを捨てるのではなく、経営の視点を上に積む。
その切り替えができたとき、二代目経営者の仕事は一段深くなります。

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