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【離職防止研修 第9回】家計の主導権を握る

1 家計改善の出発点は、知識ではなく主導権です

顧問先の医療機関スタッフの皆さまに対して、毎月実施している離職防止研修の第9回を行いました。
今回のテーマは、家計の主導権を握ることです。

この研修は、単にお金に詳しくなるための講座ではありません。
将来の見通しを理解し、自分の人生にいくらお金が必要で、どのような生き方をしていくのかを体系的に理解していただくことを目的としています。
その結果として、今の仕事を続ける意味や、ここで働き続ける理由が自分の中に芽生えていく。
だからこそ、これは離職防止研修です。

私は、離職を防ぐうえで大切なのは、辞めるなと説得することではないと考えています。
自分の人生設計が見え、目標が生まれ、今の仕事を続ける理由を自分で見つけられること。
その状態ができて初めて、人は簡単にはぶれなくなります。
今回の研修は、その土台にある家計管理の核心に踏み込みました。

① 知識だけでは家計は変わりません

家計改善というと、多くの人はまず節約法や投資法に意識が向きます。
何を買えばよいか。
どの制度を使えば得か。
どの保険がよいか。
どのNISA商品を選ぶか。
もちろん、こうした知識は大切です。

ですが、その前提として、家庭内のお金の流れを誰が設計し、誰が統制しているのかが曖昧であれば、知識は力になりません。
主導権とは、家庭内のお金の流れを設計し、決定できる力のことです。
私は、家計改善の出発点は知識ではなく決定権だと考えています。

② 主導権がなければ、大きな改善は起きません

どれほど良いノウハウを知っていても、自分が家計の5%しか動かせない状況であれば、変えられる範囲は限られます。
反対に、家計の9割を動かせる立場にあれば、大きな変化を起こせます。
だからこそ、家計改善の起点は主導権の確保であり、これは節約や投資より先に整えるべき基盤です。

③ 家計の主導権は、離職防止にもつながります

今回の研修は、お金の話を通じて、今の仕事を続ける意味を自分で見つけてもらうことも目的にしています。
自分の人生に必要なお金が見える。
そのために今の収入や働き方の意味が見える。
この流れができると、仕事を続ける理由が強くなります。
結果として、それが離職防止につながっていきます。

2 家計の主導権は、支出の透明化と家事分担の見直しから始まります

今回の講座では、お金ダム、つまり支出の14か月分に相当する安全資金や、その先の投資の話に進む前提として、家計の主導権をどう握るかを扱いました。
ここは、他ではあまり取り上げられない論点かもしれません。

私は、盤石な資産形成をダムの建設にたとえています。
急に大きな資産を作るのではなく、まずは水が貯まる構造を作る。
そのためには、家計に流れ込むお金のうち、最初に貯蓄と投資へ回す仕組みを整える必要があります。

ですが、このダム構造も、主導権がなければ作れません。
収入が入ってきても、誰が何に使うかが曖昧で、生活費も娯楽費も感覚で流れていく状態では、先取りの仕組みは維持できません。
だから今回の研修では、投資のテクニックより前に、まず家計を握るとはどういうことかを整理しました。

① 支出を見える化しないと、改善は始まりません

家計が苦しい、貯まらない、将来が不安。
そうした状態にある家庭の多くは、まず何にどれだけ使っているかが見えていません。

だからこそ必要なのは、感覚ではなく構造で把握することです。
何にいくら使っているのか。
どこに意思決定があるのか。
誰がどの支出を決めているのか。
ここが見えるようになると、初めて改善の入口に立てます。

② 家事分担の構造が、家計の主導権を決めています

家計の主導権は、単なるお金の話では終わりません。
実際には、家事分担の構造と深く結びついています。

買い物、食費、保険、子ども関連の支出など、誰が日常の消費行動を担っているかによって、実質的な決定権は動きます。
だから、家計の主導権を握るとは、口座を管理するだけではなく、家事分担の設計まで見直すことでもあります。

③ 男性も女性も、家計のブラックボックス化は危険です

今回の研修では、女性スタッフの皆さまだけでなく、男性ドクターの方からも、家計は妻に任せているが実態が見えていない、本当は最適化したいという反応がありました。
任せること自体は悪くありません。
ですが、全体像が見えず、意思決定に関与できないままでは、家計の最適化は難しくなります。

3 目標が見えると、家庭も仕事も頑張る理由になります

今回の受講者からは、次のような声が寄せられました。

これまで何となく決めていた家事分担を見直すきっかけになった
これから結婚するにあたって、何となく決めていた家事分担をしっかり意識して話し合っていきたい
夫の理解も得ながら、家計を最適化していく道筋ができた
この講習を受けて、もやもやしていた資産形成の道筋が整理できた

これらの声に共通しているのは、知識を得たというだけではなく、次に何をするかが見えたという点です。
私は、研修の価値はここにあると思っています。
分かったで終わるのではなく、行動の入口が見える。
それがあって初めて、研修は現実を変える力を持ちます。

① ダム家計とは、自動で貯まる構造をつくることです

家計に流れ込むお金のうち、最初に貯蓄と投資へ回す。
収入から先に残す分を確保し、残った範囲で生活する。
この構造ができると、家計は少しずつ貯まる体質へ変わっていきます。

給与口座から自動振込で投資や貯蓄へ回す
生活費は残った金額で組み立てる
クレジットカードは一括払いのみ
家計簿アプリで全体を把握する

こうした要素を整えていくことで、最終的には自動的にお金が貯まる家計を目指します。

② 目標がある人は、仕事を続ける理由が強くなります

家計を整える理由がある。
資産形成の先に目指す暮らしがある。
家庭で話し合うテーマがある。
そうなると、人は日々の仕事や生活に意味を見出しやすくなります。

私は、この研修の目的は、節約の技術を教えることだけではないと考えています。
自分の人生を自分で設計する感覚を持ってもらうこと。
やめる理由ではなく、ここに残る理由を自分の中につくってもらうこと。
そこに本当の意味があります。

③ 家計の主導権を握ることは、人生の主導権を握ることです

家計を誰か任せにしない。
支出を見える化する。
家族で共有する。
必要なら家事分担まで見直す。
その積み重ねの中で、少しずつ主導権が生まれます。

今回の研修で扱ったのは、単なる家計簿の付け方ではありません。
家計の主導権を握ることを通じて、自分の人生の航路を自分で決める感覚を持つことです。
その意味で、今回もまた、離職防止と資産形成の両方につながる、大切な研修となりました。

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